こんにちは、すずりょうです。
前回、「モヤモヤ悩む人は得をする」というお話をしました。
最近の大学などの研究結果から、
「早く結果を出そうとする人よりも、モヤモヤ悩みながら耐えた人が、クリエイティブなアイデアを見つける」
ということが分かってきました。
これをネガティブ・ケイバビリティといいます。
今日は、この関連で、私の壮絶な経験を語りたいと思います。
拙著『100の結果を引き寄せる1%アクション』にも書いていますが、
私が死ぬ直前の経験した話です。
私は大学を辞めて、九州から一人で東京にやってきました。
誰も知り合いがいない、大都会の中で、右も左も分からない。
これからどうすればいいかも分からない。
どう見てもマイナスのスタートでしたが、無謀にも、自営を始めました。
ある企業の代理店になって、たった一人で営業を始めたのです。
しかし、一度も社会人経験もなく、ましてや名刺の渡し方も分からないド素人、
しかも、もともとコミュ障だったので、人と話しもろくにできない。
当然、売上げも上がらず、お金はあっという間に底をつき、
食事も取ることができず、空腹で幻覚も見るようになりました。
アパートの家賃も払えず、ついには、電気料金も払えなくなってしまいました。
絶望のどん底です。
なんとかお金を借りて、電気だけ繋がったある日、
私の目の前に、真っ暗なトンネルが現れたのです。
電気がついて、明るくなったはずの部屋の中に、真っ暗なトンネルが。。
そのトンネルは、最初は小さかったのですが、どんどん大きくなり、私を包み込むようになりました。
何度も瞬(まばた)きをしましたが、間違いなく、目の前に真っ黒なトンネルがあるのです。
その時、私は、死の世界が私を呼んでいる、と感じました。
不思議に、死に対する恐怖感もなく、逆に死へと無意識に向かっていたと思います。
もし、その場所が部屋でなかったら、、
駅のホームや、ビルの屋上だったら、そのまま歩くように前に出て、無感覚で死んでいたと思います。
しかし、その時、唐突に、私の耳元で、誰かの声が聞こえました。
とても強い声でした。
その声は、こう言っていました。
「失ったものを数えるな、得たものを数えろ」
私は驚き、気が付くと真っ暗なトンネルが消えていました。
ギリギリで、私は正気に戻ったのです。
私は急いでノートを取り出し、私が得ているものを書こうとしました。
ずっと考え続けて、ようやく私が書いたのが、
「私は生きてる」
でした。
何もない自分に、唯一あったのは、「命」だけでした。
でも、とてつもない大きな「得ているもの」でした。
この一文を書いた瞬間から、冷え切った私の体から、少しずつ暖かい何かが湧いてくるのを感じました。
次に私は、
「私には手がある、足がある」
と書き始め、次々に「得ているもの」を書き続けたのです。
「まだアパートにいる」
「電気がついた」
「体が動く」
・・・・
とてもバカバカしい内容でしたが、たったこれだけで、私は前向きになっていったのです。
この経験は、私に大きな転機をもたらしました。
その後、数日、部屋にこもって、これから何をしたいかを考えました。
「本を書きたい」
「テレビに出たい」
「彼女を作って、結婚したい」
当時の私にとっては、夢のようなことばかり書きました。
何をすればいいのか分からないまま、ずっと、私がやりたいことをノートに書いていったのです。
私ができることは、それしかありませんでした。
でも、それが私をどんどん元気にさせていきました。
先のことは全然分からなかったのですが、なぜか前を向いて行けばなんとかなる、と思ったのです。
その後、5年以内に、私がノートに書いたことは、次々に実現していきました。
ノートに書いたときには、それを実現するのにどうすればいいか、全く分かりませんでした。
偶然や奇跡的な出会いが次々に起こり、私の人生を完全に変えてしまったのです。
今振り返ると、死を覚悟するような絶望的な体験をしたことで、すぐに答えを出すようなことをせず、
じっくりと時間をかけて、夢に向かっていこうという心構えができたように思います。
一度死んだ身だから、死んだつもりで、目の前のことに集中していこう。
何をどうすれば良いか分からないけど、夢の方向に顔を向けて、考え続けよう。
辛いことはいつか終わる。そう信じよう。
そう考えていました。
これが、現在で言う「ネガティブ・ケイパビリティ」だったのだと思います。
それまでの私は、すぐに結果を出そうとして焦り、その焦りが私を追い詰めていました。
状況が追い詰めていたのではなく、私自身が私を追い詰めていたのです。
その呪縛から自分自身を解放し、時間をかけていこうという思考に切り替えた時、
私の中から行動のためのアイデアが出てくるようになったのです。
あなたも、もしかしたら、辛いことに遭遇しているかもしれません。
その真っ只中にいるかもしれません。
でも、大丈夫です。
すぐに答えを出そうとせず、時間を味方にして、自分を信じて、前進してください。
そうすると、必ず、状況が変わっていきます。
それはとても小さなものかもしれません。
しかし、それが1%ずつ積み重なって、大きな変化をもたらすのです。
あなたが、絶望している時、
あなたも、この言葉を思い出してください。
「失ったものを数えるな、得たものを数えろ」