Credit: Benoît Prieur – CC-BY-SA
なぜ、一人の郵便配達員が33年かけて理想宮を作ったのか。
僕が20年以上前に作った教材で、「シュバルの理想宮」を取り上げました。とても好きな話で、私の人生の心の支えにもなっています。
1879年、フランスのリヨン、郵便配達員のフェルディナン・シュヴァルが、43歳になったある日、石に躓いて転びました。その石を拾ってみると、なんとも奇妙な形をしていました。
その石を見た瞬間、かつて夢の中に出てきた美しい宮殿のイメージが蘇り、彼は忽然と、その理想宮を作ることを決心します。
彼は、郵便配達で歩く30キロの道中で拾った石を、コツコツと積み上げ、理想宮の外壁を作り始めました。
彼は石と石の間に漆喰を詰め、乾くのを待って、次の石を重ねていきました。外壁だけで20年かけたのです。
当然、シュヴァルは村の変人扱い。
ある男がシュヴァルに聞きました。
「なんでこんなやり方でのんびり作っているんだ」
シュヴァルはこう答えました。
「俺はこのやり方が合っているんだ。漆喰が乾く時間が、ちょうど俺のペースに合っているしね」
彼はたった一人で黙々と作り続け、33年後には、多くの人々を魅了する理想宮を完成させたのです。
今でも、彼が作った理想宮は、世界中の人を魅了し続けています。
シュヴァルは、33年の月日を長く感じたでしょうか。
私は、あっという間の33年だったはず、と思っています。
彼は、彼の頭の中に現れたアイデアに導かれ、彼自身がそれに魅了されて、動き出しました。
一日一個づつ積み上げるような、亀の歩みで。
私が1%アクションを大切にする背景には、この「シュバルの理想宮」の教えがあるのです。