こんにちは、鈴木領一です。
先日、映画『メッセージ』を観てきました。
突然飛来してきた宇宙船との接触を描いた映画ですが、内容はSFというよりも心理的・哲学的なものでした。
この映画のセリフの中には、大変重要な用語が出てきます。
それが、私が最近重視していることとタイミング良く重なりましたので、今回は、それを中心に語ります。
人はなぜ変わらないのか、なぜ劇的に変わる人がいるのか、その謎が理解できるからです。
ちょっと長いですが、お付き合いください。
「サピア=ウォーフ仮説」
これは映画『メッセージ』で登場した言語学の仮説です。
平たく言えば、「使っている言語によって世界の見え方が変わる」という仮説です。
かつて多くの言語学者から非難を受けた仮説ですが、私は経験的にも「サピア=ウォーフ仮説」は正しいと考えています。
有名な「肩こり」の話があります。
日本語には「肩こり」という単語があるため肩こりを意識できるが、英語には「肩こり」に匹敵する単語がないため「肩こり」の意味が分からないといいます。
エスキモーは雪を表現する単語を400も持っており、雪の状態を微細に分析することができるといいます。
日本人は虫の音が音楽のように聞こえるが外国人には騒音にしか聞こえないというのも、日本独特の言語体系に由来します。
使う言語によって思考が変わることは、体験的に実感している人は多いと思います。
私は九州の宮崎県都城市出身ですが、都城弁で考える時と、標準語で考える時は、明らかに思考に差が出ます。
都城弁(薩隅方言)には「てげてげ」という言葉があり、「適当」という意味を持っています。
「てげてげでよかが」(適当でいい)という言葉を頻繁に聞いていたので、何をするにも完璧を目指さないような傾向があります。(これは個人的な見解です)
しかし、標準語ではロジカルに考えるクセがついているので、緻密に考える傾向があります。(これも個人的な見解です)
バイリンガルの人は、日本語で考える時と英語で考える時では明らかに思考が変化すると言います。
私の友人のバイリンガルは、英語を話す時にはまるで米国人のような振る舞いをしますが、日本語を話すときにはとてもおとなしく日本人のようです。
芸術家が見る夜空と、物理学者が見る夜空、小説家が見る夜空はまるで様相が異なるでしょう。
同じ人間に見えて、全く違う世界に生きている
「サピア=ウォーフ仮説」は、このような身近なことでの実感で分かるだけでなく、さらに驚くべきことを示唆しています。
映画『メッセージ』では、地球にやって来た宇宙人と地球人の思考が全く異なるだけでなく、目の前で起こってくる事象も全く異なることを表現しています。
これは私がこれまでずっと伝えてきた「精神のワールド」と全く同じ考え方です。
私のセミナーや教材で学ばれた方は既にお分かりだと思いますが、私たちは皆同じ「人間」の顔をしていますが、その脳でとらえている世界は千差万別です。
まるで異なる宇宙にいるかのように異なっていて、同じ言葉で話をしていても、その言葉の捉え方も違います。
つまり、「精神のワールド」(思考によって異なる世界)がいくつもあるということです。
「自分を変えようとしても、なかなか変えられない」という人は、「精神のワールド」の中から出ていない、ということなのです。
分からなくなってきましたか?
ちょっと極端な話をしましょう。
猫があなたに質問をしました。
「私はなぜニャンと鳴くのでしょう」
あなたは答えました。
「なぜなら、あなたは猫だからですよ」
分かりますよね(笑)
猫は猫でいる限り、ニャンと鳴くのです。鳴かないようになるには、猫以外になるしかありません。
猫のような動物とは異なり、人間は精神的な生き物です。
「精神のワールド」を変えてしまうと、まるで別人のように思考や行動が変化していきます。
「精神のワールド」を変えるためには
実は、現在執筆している私の次回作でも解説していることですが、ここでは特別にお伝えします。
映画『メッセージ』では、主人公が宇宙人の言葉を解析していくうちに、その言語体系を身につけていき、「ある奇跡」が起こるようになります。(ネタバレになるので、ここまでにします。是非、映画をご覧ください)
これと同様に、あなたを変えるには、あなたの脳にある言語を変えるといいのです。
そんなことができるのですか? とあなたは思ったかもしれません。
しかし、「あなたの脳内の言語が変わる」ことは、あなたもこれまで経験してきているのです。
(次号につづく)
鈴木領一拝