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“特異な”9月連休と消費動向の深い関係〜お酒と女性服販売、半沢直樹が絶好調なワケ

※本原稿は、Business Journal2013年10月2日号に掲載されました。

9月の大きな話題といえば、二大お化けドラマ『あまちゃん』(NHK)と『半沢直樹』(TBS系)の最終回だ。とりわけ『半沢直樹』は驚異の視聴率42.2%をマークし、平成となってからの民放テレビドラマでトップの視聴率となった。内容が面白かったのはもちろんだが、最終回となった9月22日という日付が、この驚異的な視聴率を後押ししたのではないだろうか。

9月は3連休が2回も続くという特異な月である。子を持つ親にとっては、夏休み明けの子どもをさらに休みボケにさせる悪夢のような月だが、ハードワークなジャパニーズビジネスパーソンにとっては砂漠のオアシスのような「恵みの月」である。

しかし、さまざまな統計データを読み解けば、9月の連休はゴールデンウィークや夏季休暇とは様子が異なっていることがわかる。

インターネット調査会社マクロミル社の調査データ「MACROMILL WEEKLY INDEX」の「買う予定のもの」のグラフを見ると、面白いことに気づく。外出の意欲を示す「家族との外食」によると、年末とゴールデンウィーク、夏休みに大きな山があることがわかるだろう。

ところが、3連休が2回も続く9月は外出の意欲が高くない。ある調査でも、ゴールデンウィークや夏休みに「外出する」と答えた人は7割を超えるにもかかわらず、9月の連休に「外出する」と答えた人は3割を切り、逆に「自宅で過ごす」と答えた人は7割を超えていた。「MACROMILL WEEKLY INDEX」の「買う予定のもの」で「お酒」が9月に急に伸びていることも、在宅率の増加を裏づけている。

『半沢直樹』の最終回である9月22日は最後の3連休の中日にあたり、外出する人も少なく在宅率が高かったのである。だから『半沢直樹』を録画せずにリアルタイムで観た人が多かったわけである。酒を飲みながら、半沢直樹が大和田常務を土下座させるシーンに溜飲を下げた中間管理職の中年男性も多かったはずだ。

なぜ外出意欲が高まらない?

しかし、なぜ9月の連休には外出意欲が高まらないのだろうか?

筆者が独自に調査した結果では、多くの人が「夏休み疲れ」「夏バテからの回復休養」と答えている。特に今年は猛暑が続き、多くの人がヘトヘトになっていたのだ。そこに「恵みの月」9月の連休が訪れたわけだから、家で寝てゴロゴロしたいと思うのが自然だろう。

それともうひとつ、3連休というのが中途半端ともいえる。9月はほとんどの人がカレンダー通りの休暇を取っていた。つまり3連休以上の休暇を取った人は極めて少なかったのだ。旅行を計画したとしても、旅行から帰ってきて一休みする時間がない。日帰りで外出したとしても、3連休の1日だけを充てて、残りの2日は家でのんびりしたいと思う人が多かった。

ゴールデンウィークや夏休みでは5日以上休暇を取り、旅行の計画にも余裕が出る。9月の連休の旅行者を当て込んでいた関係者は肩透かしを食らっただろう。現在、政府は秋の大型休暇いわゆる「シルバーウィーク」の構想を進めている。10月末〜11月頭にかけて5連休以上の休暇をつくる構想だが、これが実現した時には国内外の旅行がゴールデンウィークや夏休み並みに活況となるだろう。

女性が秋に服を買う理由

話題を変えよう。もう一度「MACROMILL WEEKLY INDEX」を見ていただきたい。「買う予定のもの」の「洋服」に注目してほしい。9月に入り、洋服を買う気持ちが上昇している。これはなぜだろうか? その理由がわかる人は、女心がわかる人である。あなたが男性ならば、この心理が理解できればモテ度上昇間違いなしである。

9月に入って服を買い始めるのは、大半が女性である。なぜ9月になって買い始めるのか?

そこには、なんとも言えない乙女心が働いている。夏は多くの女性にとっては服を“楽しめない”季節である。服が薄くなると体型が出やすくなる。体型に自信のある一部女性にとっては待ちに待った季節だが、多くの女性にとっては「ちょっとブルーな季節」なのだ。しかし、夏が終わり、服を重ね着してファッションとして楽しめる季節が到来した。一部女性に独占されていた「楽しみ」を奪還できる大きなチャンス到来なのだ。

ある女性は私にこう打ち明けてくれた。「秋に服を買う女の心理は2つ。一つは新しい恋の期待感。もう一つは女性の目」。最初の一つはわかるが、二番目の「女性の目」がよくわからない男性諸君も多いだろう。

筆者はマーケッターとして女性に意見を聞くことが多いが、そこでよく聞く言葉が、この「女の敵は女」である。以前、私は女性が服を買う動機は「男性にモテたい」からだと思い込んでいた。しかし、私もそうだが、多くの男性は女性の服に対してさほど関心がない。よく「男は女の髪型の変化に気づかない」といわれるが、服に対しても同様に変化に鈍感である。なのに、女性が服に気を遣うのがどうしても理解できなかったのだが、「女の敵は女」という言葉ですべてを理解できるようになった。

女性は自分の服がどう評価されているか「女性の目」を気にしているのだ。女性からすれば「何を今さら」と言われるかもしれないが、私を含め男性にとっては、いつも驚かされる事実である。

この秋は、女性の“倍返し”のドラマの始まりなのかもしれない。

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この記事を書いた人

思考力研究所所長、ビジネス・コーチ、ビジネスプロデューサー、一般社団法人「日本経営コーチ協会」アドバイザー
著書:100の結果を引き寄せる1%アクション他多数

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