※本原稿は、プレジデント誌2012年9月17日号に掲載されました。
日本中どこでも見かける自動販売機。この数年、設置数は減少し、販売額も右肩下がりだ。そんな中、東京の駅構内で急速に台数を増やし売り上げを伸ばしている自販機がある。株式会社JR東日本ウォータービジネスの“次世代自販機”だ。
次世代自販機は従来の自販機とは何もかも異なる。ぱっと目を引く大型タッチパネルで、Suica等のICカードにも対応している。それだけではない。客が次世代自販機の前に立つと、上部センサが客の画像をとらえ性別や年代を推定。さらに時刻や気温情報をもとに、その人に最適なオススメ商品を表示させる。まさに次世代の自販機である(注:映像は保存されない)。
同社は2006年の設立以来、5年間で売り上げを149%伸ばしている。その要因を取締役営業本部長の笹川俊成氏はこう説明する。
「従来の自販機は飲料メーカーごとに設置されていましたが、弊社は1台の自販機に様々なメーカーの商品を取り混ぜたブランドミックス自販機を導入しました。Suica対応機開発等のイノベーションに積極的に取り組んできたことや、10年に開発した次世代自販機の効果も大きいです。次世代自販機は従来機よりも現時点で1.5倍程度の販売力があります」
POSデータによって、男性が夕方に甘い飲料を飲む傾向があることや、電車に乗る前にミネラルウオーターを買い移動中に飲むこともわかった。「自販機から得られるビッグデータから、地産果汁のジュースや、キャップが落ちないので歩きながらでも飲みやすい『フロムアクア』を開発し、ヒットしました。次世代自販機は年内に500台設置を目指し、今後は他業態を含め新たな可能性も検討したい」(笹川氏)。
自販機というより、もはやマーケティングマシンである。