女子高生が放った、国家プロジェクトを揺るがす「純粋な質問」

先日、東京大学で行われた、とある国家プロジェクトのキックオフ・シンポジウムに参加した。

内閣府科学技術・イノベーション部門の肝いりで、予算600億円のプロジェクト。

簡単に説明すれば、「無数の細胞からスーパー細胞を瞬時に発見する技術」だ。

たとえば、油を生成する数兆個のミドリムシの中から、最も生産量の多いスーパーミドリムシを一個、瞬時に発見する技術。

これまで数年間かかっていた分析が、わずか24時間でできてしまい、いわば「細胞発見のGoogle」を作ろうというプロジェクトである。

このプロジェクトが成功すれば、あらゆる産業に多大な貢献をするため、東京大学をはじめ日本国内の一流研究家が参画している。

キックオフ・シンポジウムでは、内閣府の代表、ユーグレナの出雲社長や、ノーベル賞級の学者、開成学園校長、東京大学名誉教授など、そうそうたる方が発表された。

3時間のシンポジウムの最後に、プロジェクトリーダーから今後の予定が発表された。

4年間で「細胞発見のGoogle」を作るという内容で、現在、その手法を試行錯誤して確立していくという内容だ。

つまり、現段階ではどのようにそれを作るのかは分からないが、国内の一流の学者や研究者の力を借りながら、4年後には日本が世界をリードしていくという壮大な発表だった。

最後に質疑応答の時間があり、300名の参加者(ほとんどが国内外の学者)から、数々の専門的な質問があがった。

「大変素晴らしい発表をありがとうございます。……」、お決まりの枕詞から始まる質問に次々に答えるリーダー。

質問時間の最後に、リーダーから提案があった。

「今回は高校生の参加者がいらっしゃいますので、高校生から質問をください」

会場には、おそらく東大を目指しているであろう高校生のグループが参加していた。

今回はかなり高度に専門性の高い発表内容だったが、よく3時間も聴いていたものだと感心していたら、一人の女子高生が力強く挙手をした。

その女子高生にマイクが渡された。会場の大人達は、固唾をのんで彼女の質問に注目した。

「今回のプロジェクトは、今はまだどうやったらできるか分からないということでしたが、なぜ4年という期間や600億円という予算が決められるのですか?」

この質問に、大人達は苦笑が混じった感嘆の声をあげ、今回のシンポジウムで最大の拍手が起こった。

まことに純粋な質問で、大人達は大人の約束で絶対に聞かない、いや聞けない質問である。

プロジェクトリーダーは頭をかきながら「大変鋭い質問です」と苦悩しつつ、あれこれごまかしながら答えていた。

今回のシンポジウムは極めて専門性の高い内容で、私も退屈していたが、この女子高生の質問が聞けて、本当に参加して良かったと感じた。

私は女子高生の質問から、2つのことを学ぶことができた。

一つは、純粋な質問にこそ、本質が宿っているということ。

もう一つは、どうすればそれができるか分からない、ということに挑戦する「夢」に対し、リーダーは、毅然とした態度で向かっていかなくてはならない、ということだ。

女子高生の質問には、「夢を追いかける心構え」についての内容も含まれていたと思う。

どうやればできるか分からないのに、どうしていつまでにやろうと言っているのだろう、という純粋な疑問。

大きな夢に向かっていく時、「どうなるか分からないくても、それができることで、どれだけ多くの人や、これから生まれてくるであろう子供達の世界にも貢献することができる」という思いが最も大事であることを、大人達は子供達に伝える義務があるように思う。