ビジネスで成功できないあなたは、自ら「刑務所の囚人」になっていないか?

※本原稿は、Business Journal2013年3月2日号に掲載されました。

ポジティブ思考になれば成功する、という表面的なメンタル至上主義の自己啓発ノウハウを信じている人が多いようですが、それだけで成功することは不可能です。

私自身は、もともとポジティブシンキング信奉者でした。また、アメリカで120年の歴史がある「SUCCESS」誌と共同で能力開発プログラムを開発し、数千人の人々の実践結果を研究してきました。

その結果、多くの人が信じている自己啓発には重大な欠陥があり、それをクリアしない限り、思うような成果を出すことができないことがハッキリしました。

しかし、残念なことに、巷には20世紀に開発された自己啓発ノウハウのコピーが溢れています。古い自己啓発ノウハウを学んで「結果が出ない」と悩んでいる人がいることを私は憂いています。

では、20世紀型の自己啓発ノウハウでは解決できないこととは何でしょうか?

それは、「世界の解釈」です。あなたが見ている「世界の解釈=捉え方」を変えない限り、メンタルを変化させても自分を変化させることはできないのです。

わかりやすい例え話で説明しましょう。

朝、目を覚ますと、あなたは刑務所の中にいました。ここ1カ月の記憶がありません。どうやらこの1カ月の間に、大変な事が起きたようです。刑務官から、あなたは18号と呼ばれています。あなたは、必ずこう確信するはずです。「私は囚人だ」と

あなたは外部の状況解釈から、「私は刑務所にいる囚人だ」と判断しました。しかし、あなたは状況を受け入れることができずに、自分のメンタルをポジティブに変えることにしました。

「私は刑務所にはいない。私は自由な人間だ。私は成功する」と毎日自分に言い聞かせて潜在意識を変えようとしました。でも、毎朝目覚めると刑務所の中にいるという現実は変わりません。結局、メンタル書き換えの努力は無駄に終わり、元通りに「私は囚人である」という自己認識に戻りました……。

さて、この話をあなたはどうとらえましたか? 当たり前じゃないか、それがどうした、と思われたかもしれません。しかし、ここにこそ、ポジティブ思考になっても自分を変えられない決定的なヒントが隠されているのです。

あなたは自ら「不自由な世界」を生み出している

あなたは今、刑務所にいなければ囚人でもないでしょう。しかし、あなたは「あなたの世界」の中にいて「あなたの世界にいる人間」であることは間違いありません。「あなたの世界」とは、あなたが世界をどう捉えているかの結果であり、世界の捉え方の総和です。

刑務所ほどでなくても、「あなたの世界」が“自由がきかず、さまざまな障害でがんじがらめの世界”ならば、あなたは“自由がきかず、さまざまな障害でがんじがらめの人間”であると自己認識しているはずです。

それはちょうど刑務所の中にいるから、自分は囚人であると自己認識しているように。もしかしたら、あなたは「あなたの世界」という刑務所にいるのかもしれません。“あなた”という自己を形成しているのは、内面のメンタルではなく、あなたが見ている世界の解釈なのです。

「この社会は学歴社会だ」「女性は男性より弱い」「歳をとれば可能性がなくなる」「内向的な人は成功できない」「失敗したら二度と立ち直れない社会だ」「貧乏な人には何も可能性が訪れない」「金持ちは悪いことをしているに違いない」「容姿が悪ければ結婚できない」「起業する人の9割は失敗する」「就職難だから、会社をやめれば悲惨になる」……。

あなたは、あなたの住んでいる世界のさまざな要素をさまざまな解釈で理解しています。その数は膨大で、数え上げることもできないくらいです。その解釈の総体が、「あなたの世界」です。あなたは「あなたの世界」の解釈を何十年も繰り返し行なっている結果、それをほぼ「真実」というレベルで信じています。

「これが世界であり、みんな同じ世界に住んでいる」と信じて疑いないはずです。しかし、それは幻想に過ぎません。

世界は無数の要素で成り立っていますが、その要素一つひとつに対して、人それぞれの解釈があります。人によって捉え方が千差万別なのです。したがって、人それぞれに個別に解釈している「あなたの世界」があり、見えている世界が全く異なっているのです。

例えば、あなたが「この社会は学歴社会だ」と信じていれば、あなたには学歴でのし上がった人の情報ばかりが見えてきます。そしてますます「この社会は学歴社会だ」という確信を持つようになるのです。

これは「潜在的思考=フレーム」の作用です。フレームには、自分が確信している情報に敏感になり、それ以外の情報をシャットアウトする性質があります(詳細は、拙著『100の結果を引き寄せる1%アクション』を参照ください)。

例えば、次の文章を読んでください。

「あなたは異性に告白されました。どうしますか?」

さて、あなたはどう反応したでしょうか。

ん~困ったな、すでに付き合っている人がいるし、とか考えなかったでしょうか。ここでフレームの反応をみることができます。この文章にある「異性」「告白」には、それ以上何も情報がありません。

しかし、あなたは勝手に「異性」とは自分と同じくらいの年頃で、「告白」とは愛の告白だと解釈したはずです。

はそんな情報を何も与えていないにもかかわらず、あなたは勝手に解釈し、それ以外の情報を考える余地もなかったはずです。異性が子どもだったらどうでしょうか。告白が、失敗の告白だったらどうでしょうか。

あらゆる可能性が考えられるはずですが、あなたはひとつの解釈をしたはずです。これがフレームの作用です。

あなたは何かに対して、ひとつの解釈をしている限り、それ以外の情報がみえず、可能性も考えることもできません。だから、あなたが解釈している世界は唯一だと思い込んでいるのです。

世界の解釈を変えることから、新しいビジネスは生まれる

あなたがいかに「自分は成功する」とメンタルを変えようとしても、「学歴社会だ」「お金がなければ成功しない」「特別な才能がなければ成功しない」……などと制約のある世界を信じていれば、あなたはその世界に“ふさわしい自分”になります。

あなたは、あなたが考えている通りの人間になるのではなく、あなたが信じている世界に“ふさわしい人間”になっているのです。

みずからの世界の解釈を変え、新しいビジネスを立ちあげて注目されている人物がいます。かつてハイパーネットの倒産・自己破産で世間の話題になり、その顛末を書いた本『社長失格』(日経BP)がベストセラーになった板倉雄一郎さんです。

板倉さんは近著『社長復活』(PHP研究所)で、倒産後から現在に至るまでの話を書かれていますが、最も特筆すべきは「会社2.0」というコンセプトです。

板倉さんはあらたにシナジードライブ社を立ちあげ再度起業されました。声のSNSという新しいコンセプトのVoiceLink™(全世界特許出願/Android版発表。iPhone版近日公開)のサービスを昨年1月に開始し、ユーザーを伸ばし続け、今世界的にも注目されています。

板倉さんは前回の失敗を踏まえ、「従業員なし」「オフィスなし」「事業計画なし」という常識を覆す「会社2.0」の考えかたで順調に事業を進めています。

会社にはオフィスが必要で、従業員がいて、事業計画を遂行しなければ成功しない、という世界を信じている人には決して発想できない方法です(詳細は『社長復活』を参照いただきたい)。

先日、板倉さんと対談をさせていただいた時、板倉さんはこう言われました。

「何事も疑って見ることが重要である。自分が信じていることも疑ってみれば、人に見えない可能性も見えてくる」

あなたが成功したければ、メンタルをポジティブにするだけでなく、あなたが見ている世界を疑い、解釈を変えてみることも必要です。成功している人は、成功する世界が見えているから、それにふさわしい人=成功者になったのです。

もちろん、あなたにもそれが可能なのです。

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